第98回(2022年)

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【1月2日】

スタート地点

昨年と打って変わり、ハイペースなレース展開となった1区。

往路1区
葛西潤選手は序盤、集団を見る形で好位置をキープ。

芝公園、東京タワー前

15キロ過ぎから集団についていけなくなったが、懸命に耐え“1秒でも離されずにフィリップにつなぎたい!”と残り5キロ、死力を振り絞り並走していた選手を引き離す。  

鶴見中継所手前

往路2区
16位で襷を受け取ったフィリップ・ムルワ選手。

前半から果敢に飛ばし、どんどん順位を上げる。  

中継所目前の“戸塚の絶壁”もさっそうと駆け上がり、見事区間2位の激走で、10人抜きの快挙を成し遂げ、6位に順位を押し上げた。  

高島町、戸部7丁目交差点

往路3区
桑田大輔選手は緊張からか、スタートからなかなかペースが上がらず藤沢付近で10位まで順位を下げるが懸命の走りで粘る。  

浜須賀交差点

“少しでも前の位置で、嶋津さんにつなぐんだ”。前の選手が視界に入り、気持ちを立て直す。    

湘南サザンビーチ前、後方には江の島

往路4区
嶋津雄大選手は11位で襷を受け取ると、とにかく1人ずつ丁寧に抜くことを考え走った。グングン加速し、1人、2人とかわしていく。  

襷を受けて一気に加速し、11位から6位まで順位を押し上げる。  

終盤、はるか前方に「駒澤大学」の選手の背中が見えた。昨年、10区のゴール直前で駒澤大に逆転された。「気持ちが一番入りました」

2年連続の4区。前回よりも1分40秒以上タイムを縮めての区間賞。最終的には5位まで順位を上げ、小田原中継所に飛び込んだ。  

小田原中継所、手前カーブ

小田原ういろう手前

往路5区
5区を任されたのは主将・三上雄太選手。

序盤は帝京大・駒澤大と並走していたが、なかなか自分のペースがつかめず徐々に遅れ始め8位に後退するが、仲間の顔を思い浮かべて自分を奮い立たせる。  

いよいよゴールに近づき、ラストスパート。芦ノ湖、後方に海賊船

山頂付近に差し掛かる頃には自分のペースを取り戻すことができ、無意識で胸を突き出しゴールに飛び込む。全てを出し切り、倒れそうになった三上選手を、大きく手を広げて副主将・永井大育選手が受け止めた。  

【1月3日】

復路6区
トップ青学大から5分38秒差で濱野将基選手がスタート。

昨年の経験を生かして最高点874メートルから一気に駆け抜け、前を追う。

“苦楽を共にしてきた同期の分まで、責任を持って走る”との思いで濱野選手は立ち直る。10キロすぎの小涌園前からのラップタイムは、区間2位という好走で前の東国大との差を詰めて小田原中継所へ。

宮之下、富士屋ホテル前

箱根湯本商店街

復路7区
走るからには区間賞を狙いたいと言っていた新家裕太郎選手。

ついに11キロ過ぎ付近で國學院大、東国大を捉え6位に押し上げる。 

最後は強烈なスパートで区間4位の快走で順位を3つ上げ、5位で平塚中継所へ。「新家、ナイスラン」との榎木監督の声にガッツポーズで応える。

復路8区
1年生の吉田凌選手は前半から積極的な走りで、4位帝京大を捕らえ9.5キロ付近では東国大と並走。

湘南大橋、後方に見事な白雪の富士

15.9キロの遊行寺坂では中央大、東国大との並走に持込む。前に出ては抜かれ、再び前に出る。

熾烈な争いに最後まで食らい付けたのは、昨年8区を走った永井選手から声を掛けられたから。「凌は俺よりも早いから、自信をもって頑張って!」

上級生の他校の有力選手に肩を並べる力走で、目標の3位が見える5位で戸塚中継所に飛び込む。

復路9区
中武泰希選手は4年生として最初で最後の箱根駅伝。7キロ付近でグループから後退。10キロ付近では駒澤大に抜かれるも必死に食らいつくがシード権を目指す各校も必死に迫ってくる。

運営管理車の榎木監督から檄が飛ぶ。「一番練習をしてきたんだから、自信を持って走ろう!」

誰にも負けない努力で勝ち取った箱根。出せる全ての力を振り絞り、前を向いて走る。

9位に順位を下げたが、持ち前の粘りで中継所へ思いを繋ぐ。

復路10区
9人でつないできた襷の重みを、松田爽汰選手がしっかりと受け取る。

いよいよシードをかけた最終区。シード権ラインの10位に10秒差まで迫られた松田選手は、ギアを入れ直しスピードアップ。

16キロ過ぎの田町駅以降の記録では2年前、区間新記録を打ち立てた嶋津選手よりも速いペースで駆け抜け、20キロ付近で7位まで順位を上げた。

日本橋 

 

そのままゴールに飛び込んだ。「どういうポーズでゴールするか決めていなくて」という松田選手は、テープの向こうに三上主将が見えた瞬間、とっさに3本の指を立てた。通称「三上ポーズ」。自身の決めポーズでこちらに向かってくる松田選手を三上主将は笑顔で抱きかかえた。